THE HUBで不動産会社は開業できる?宅建業免許の取得条件と注意点を解説

THE HUBで不動産会社は開業できる?宅建業免許の取得条件と注意点を解説

不動産会社を開業する際、「なるべく固定費を抑えてスタートしたい」と考える方にとって、THE HUBのようなシェアオフィスやレンタルオフィスは非常に魅力的な選択肢です。法人登記可能な拠点を全国に展開し、低コストで一等地の住所を持てるTHE HUBですが、不動産業を始めるにあたっては注意が必要です。

というのも、宅建業免許を取得するには「事務所要件」をクリアしなければならず、レンタルオフィスのすべてがこの条件を満たしているとは限りません。

この記事では、「THE HUBで不動産会社を開業できるのか?」をテーマに、宅建業免許取得における事務所条件やTHE HUB利用時の注意点、開業成功に向けたチェックリストを詳しく解説します。

宅建業免許を取得するための「事務所」の定義

宅建業(宅地建物取引業)を行うには、国や都道府県に免許を申請し、認可を受ける必要があります。その際に問われるのが「事務所」としての実態です。

以下の条件を満たさなければ、宅建業免許は認可されません。

事務所要件の主な条件

  1. 宅建業に継続的・反復的に従事する場所であること
  2. 宅建士が常勤できるスペースであること
  3. 応接・重要事項説明ができる机・椅子などが整っていること
  4. 他者と明確に区切られた独立性があること(パーテーションだけでは不可の場合も)
  5. 看板(標識)を掲示できること

つまり、郵便物が届く、登記できるといった表面的な機能だけでなく、「業務を行う場所」としての実態が求められます。

THE HUBとは?不動産会社の開業に適しているのか

THE HUBは、都心部を中心に全国各地に拠点を構えるシェアオフィスブランドです。バーチャルオフィス、コワーキングスペース、完全個室まで多様なプランがあり、法人登記や郵便転送も対応可能。低価格かつ柔軟な利用体系が魅力です。

THE HUBの主なオフィスタイプ

  • バーチャルオフィス(住所利用・登記可・実体なし)
  • コワーキングスペース(共有席利用・一部専用ロッカーあり)
  • ブース席・半個室(簡易的な区画・パーテーション仕切り)
  • 完全個室オフィス(鍵付きの専用スペース)

このうち、宅建業免許の取得が見込めるのは「完全個室タイプ」に限られると考えるのが基本です。バーチャルオフィスや共有席では、ほぼ確実に事務所要件を満たせません。

THE HUBで宅建業免許を取得する場合の注意点

利用契約が「賃貸借契約」であるかの確認

宅建業免許申請では、事務所の使用権限を証明するために「建物賃貸借契約書」の提出が必要です。しかしTHE HUBの契約形態は「利用契約」となる場合も多く、その場合、使用実態があっても免許審査でNGとなるリスクがあります。

そのため、宅建業の拠点として使用する旨が契約書に明記されているかを確認しましょう。

仕切り・独立性の基準を満たすか

壁やドアのない「ブース席」や「簡易個室」は、区画の独立性が不足しており、多くの自治体では不許可とされます。鍵付きの完全個室かつ天井まで仕切られた区画である必要があります。

標識(看板)を掲示できるか

宅建業では、事務所内外に「標識(商号・免許番号等)」の掲示が義務付けられています。THE HUBは景観や共用スペースの関係上、看板の設置が制限されている物件もあるため、事前に確認が必須です。

宅建士の常駐が可能な体制か

「宅建士の専任性」は非常に重要なポイントです。業務時間中に宅建士が常駐している必要があるため、実質的に勤務する体制が整っているか(出社可能か、他業務との兼任がないか)を確認しましょう。

地域によって審査基準が異なる点にも注意

宅建業免許の申請先が東京都、神奈川県、大阪府などの大都市圏であれば、THE HUBの個室利用で免許を取得できた事例もあります。しかし、自治体ごとに「事務所の独立性」や「看板設置」の解釈に差があり、同じTHE HUBの物件でも「この県ではOK/NG」が分かれることがあります。

そのため、事前に必ず該当地域の宅建業免許窓口へ相談することが重要です。

THE HUBを活用するメリット・デメリット

メリット

  • 初期費用・月額コストが安く、開業しやすい
  • 都市部の一等地にオフィスを構えられる
  • 法人登記・郵便転送・受付サービスなどが充実
  • 将来的に他拠点へ移動もしやすい柔軟性

デメリット

  • バーチャルや共用席は事務所要件を満たさない
  • 契約書の形式や表現によって申請が通らない可能性がある
  • 看板設置・仕切り・応接設備などに制限がある拠点も
  • 審査が厳しい地域では不許可となることもある

THE HUBを使って不動産会社を開業する手順

  1. 完全個室オフィスの空き状況を確認・内見
  2. 宅建業に使用できる契約か、看板設置が可能かを確認
  3. 免許申請先自治体に事前相談し、使用可否を確認
  4. 必要な備品(机、椅子、電話、収納)を設置
  5. 標識の作成・掲示を実施
  6. 宅建士の常駐体制を整え、申請書類を提出
  7. 現地調査に対応後、免許取得・開業へ

まとめ:THE HUBでの開業は可能だが、個室&契約形態に要注意

THE HUBは立地や費用面で魅力のある選択肢ですが、不動産業の開業拠点として利用するには、「完全個室かつ宅建業対応の契約内容」である必要があります。コワーキングスペースやバーチャルオフィスでは免許取得はほぼ不可能です。

また、同じTHE HUBでも拠点によって契約形態や看板掲示の可否が異なるため、慎重な選定と事前確認が求められます。宅建業免許をスムーズに取得し、無理のない初期投資で事業をスタートさせるためにも、THE HUBを検討する際は「立地」「個室の有無」「契約書の内容」「免許窓口への事前相談」の4点を必ずチェックしましょう。

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