Regus(リージャス)で不動産会社は開業できる?宅建業免許の取得条件と注意点を解説

不動産会社の開業にあたって、「コストを抑えるためにRegus(リージャス)のようなレンタルオフィスを利用したい」と考える人は少なくありません。確かにリージャスは全国主要都市に拠点を持ち、ビジネス向けの設備や住所を提供している点で魅力的です。
しかし、不動産業を始めるには「宅地建物取引業免許(宅建業免許)」の取得が必須であり、その申請においては事務所形態に関する厳しい要件が定められています。この記事では、Regusで不動産会社を開業できるのかを検討するうえで知っておくべきポイントや注意点をわかりやすく解説します。
宅建業免許を取得するための「事務所要件」とは?
宅建業免許を取得するには、単に登記上の本店住所があればよいというわけではありません。宅地建物取引業法上で定められた「事務所要件」を満たす必要があります。
事務所要件の基本ポイント
- 継続的に業務を行える施設であること
- 契約者との応接・重要事項説明が行える空間があること
- 宅建士が専任で常駐できる場所であること
- 独立性がある空間で、他事業者と明確に区分されていること
つまり、電話やFAXがある、郵便物を受け取れるというだけでは不十分で、「実態のある事務所」として使用できることが重要です。
Regus(リージャス)とは?不動産業で使えるのか
Regusは、世界120か国以上で展開するレンタルオフィス・シェアオフィスブランドです。日本国内でも東京都心部を中心に多くの拠点があり、法人登記可能、受付サービス、インターネット環境などを備えています。
リージャスのオフィスタイプの種類
- バーチャルオフィス(住所利用のみ)
- コワーキングスペース(共有デスク)
- 個室オフィス(完全な専有スペース)
このうち、宅建業免許の事務所要件を満たせる可能性があるのは「個室オフィス」のみです。バーチャルオフィスやコワーキングは原則として不可とされています。
リージャス個室オフィスで宅建業免許は取得可能?
条件を満たせば申請自体は可能
リージャスの個室タイプの完全個別スペースで、かつ以下の条件を満たしていれば、宅建業免許の申請が認められる可能性があります。
- 賃貸借契約書に「事務所使用」や「不動産業可」と明記されている
- 宅建士が常駐可能である(専任性の要件を満たす)
- 応接スペースや面談可能な机・椅子などが備え付けられている
- 他社との明確な区画分離がある
地方ごとに判断が異なる点に注意
ただし、事務所要件の運用は都道府県ごとに微妙な違いがあるため、「東京都ではOKでも、他県ではNG」というケースも実際に存在します。事前に必ず、申請先の都道府県庁や宅建業免許窓口に確認を取りましょう。
開業前に確認すべきチェックポイント
1. 契約形態の確認
リージャスの物件によっては「利用契約」となっており、建物賃貸借契約とは異なる扱いになることがあります。宅建業免許では建物の使用権限(賃貸借契約等)が証明できることが前提となるため、契約書の記載内容を要チェックです。
2. 応接スペース・仕切りの有無
壁やドアがなく、他事業者と空間を共有している場合は、独立性の観点からNGとなることがあります。可能であれば完全に仕切られた施錠可能な個室を契約するのが安全です。
3. 看板設置の可否
宅建業免許申請では、社名や事務所名を記載した「標識(看板)」を掲示する必要があります。リージャスによっては看板の掲示が制限されている場合があるため、契約前に確認しましょう。

Regusを使うメリット・デメリット
メリット
- 初期費用が安く、開業資金を抑えられる
- 都市部の好立地に住所が持てる
- 秘書・受付代行、会議室利用などが可能
- 短期契約・移転もしやすい
デメリット
- 契約形態や内装条件によって免許が取れないことがある
- 完全個室でない場合は用途に制限がある
- 看板掲示や宅建業法に沿った運用に対応できない拠点もある
- 面談・接客が必要な不動産業において信頼性に欠けると感じられる場合もある
実際にRegusで開業する際の流れ
まとめ:Regusでの開業は可能だが、事前確認が必須
Regus(リージャス)のようなレンタルオフィスを活用して不動産会社を開業することは可能ですが、宅建業免許の取得要件を満たす個室であることが絶対条件です。バーチャルオフィスやコワーキングスペースでは原則認められないため、契約形態や施設条件を慎重に確認しましょう。
不明点がある場合は、必ず免許申請先の都道府県に事前相談を行い、「ここで申請しても問題ないか?」を確認することが、トラブルを防ぐ最善策です。
コストを抑えつつ、スムーズに不動産業をスタートするために、Regusを活用する選択肢は有効です。しっかりと事前準備を行い、実務と法令の両面で支障のない開業を目指しましょう。


