不動産会社の主たる事務所と従たる事務所の違いとは?設置要件と開設手続きの全知識

不動産会社の主たる事務所と従たる事務所の違いとは?設置要件と開設手続きの全知識

不動産会社を立ち上げたり拡大したりする際に必ず関わってくるのが「主たる事務所」と「従たる事務所」という区分です。

宅建業免許は主たる事務所を基準に申請され、従たる事務所の開設には追加の届出が必要となります。

しかし、両者の違いを正しく理解していないと、免許手続きの不備や宅建士配置のミスにつながり、最悪の場合は行政処分を受けるリスクもあります。

本記事では、不動産会社が押さえるべき主たる事務所と従たる事務所の定義・要件・違いをわかりやすく解説し、実務で役立つ注意点まで詳しく紹介します。

主たる事務所と従たる事務所の基本的な違い

不動産会社を設立する際、宅建業免許の申請において重要になるのが「主たる事務所」と「従たる事務所」という区分です。

主たる事務所は、会社の本拠地となる中心的な事務所を指し、会社の経営や重要な契約事務が行われる場所です。

一方、従たる事務所は支店や営業所など、主たる事務所以外の拠点を意味します。

この違いを理解していないと、宅建業免許の取得や更新時に手続き上のトラブルが生じることがあるため注意が必要です。

宅建業免許における主たる事務所と従たる事務所の扱い

宅建業免許は、主たる事務所の所在地を管轄する行政庁で取得することが原則です。

たとえば、東京都に主たる事務所を置く場合は東京都知事免許、複数の都道府県にまたがって従たる事務所を設置する場合は国土交通大臣免許が必要となります。

また、従たる事務所を新たに開設する際には、免許を持っているだけでなく「従たる事務所の設置届出」が必須となります。

届出を怠ると行政指導や業務停止処分の対象となるため、計画段階から正しく手続きすることが大切です。

主たる事務所の要件と条件

主たる事務所には、以下のような要件が求められます。

専任の宅地建物取引士の設置義務

主たる事務所には、必ず1名以上の専任宅建士を配置する必要があります。専任とは常勤かつ専従で業務に従事することを意味します。

契約書や重要事項説明書の保管義務

契約関係書類は主たる事務所で適切に保管・管理しなければなりません。

常勤性・独立性の確保

単なる自宅の一部や他業種のオフィスと共有している場合、独立性が認められず免許申請が却下されるケースがあります。

これらの条件を満たしていないと、宅建業免許自体が取得できないため、最も厳格な要件が課されるのが主たる事務所です。

従たる事務所の要件と条件

従たる事務所、つまり支店や営業所にも一定の条件が求められます。

専任宅建士の配置

従たる事務所で契約を取り扱う場合には、原則としてそこにも専任の宅建士を置く必要があります。

たとえば、複数の営業所を構える場合は、それぞれの営業所に専任宅建士を配置しなければなりません。

従業員と管理体制の整備

業務を行う従業員が常駐し、管理責任者が明確になっていることが求められます。

名称表示・広告表記のルール

従たる事務所を設けた場合、その所在地や名称を広告や契約書に正しく記載しなければならず、虚偽表示は宅建業法違反となります。

主たる事務所と従たる事務所の違いを比較表で解説

違いを整理すると以下の通りです。

項目主たる事務所従たる事務所
管轄行政庁所在地の都道府県知事または国土交通大臣主たる事務所と同じ免許で届出制
宅建士配置必ず専任宅建士が必要契約取扱がある場合は専任宅建士が必要
書類保管契約関係書類を保管必要に応じて複写を保管
手続き宅建業免許の取得設置届出が必要

この表を確認すれば、両者の役割や義務の違いが一目で理解できます。

従たる事務所を設置するメリット・デメリット

従たる事務所を設けるメリットは、営業エリアを拡大できる点にあります。特に人口の多い都市部や新興住宅地に拠点を置けば、顧客との接点が増え、契約機会が広がります。

一方で、人件費や賃料などの固定費が増加するのはデメリットです。

また、それぞれの従たる事務所に宅建士を配置する必要があるため、人材確保が課題となります。

コストと集客効果を天秤にかけた判断が求められます。

主たる事務所から従たる事務所へ変更・移転する場合の注意点

本店移転を伴う場合は「主たる事務所」の所在地が変わるため、宅建業免許の変更手続きが必要です。

これを怠ると免許が無効になる可能性があります。

また、従たる事務所を閉鎖・統合する場合も届出が義務付けられており、行政庁への報告を忘れると法令違反となるため注意が必要です。

不動産会社が押さえておくべき実務上の注意点

  • 主たる事務所と従たる事務所の区分を明確にし、免許申請の際に正しく記載すること
  • 専任宅建士が不在となる状態を避けるため、異動や退職がある場合は迅速に補充すること
  • 契約書や広告表示に誤りがないよう、拠点ごとの管理体制を徹底すること

これらを怠ると行政処分や業務停止リスクが高まるため、事務所運営は慎重に進める必要があります。

まとめ|主たる事務所と従たる事務所の違いを正しく理解しよう

不動産会社にとって、主たる事務所と従たる事務所の違いを理解することは、宅建業免許の適切な維持と事業拡大に直結します。

主たる事務所は会社の本拠地として最も厳格な要件が課され、従たる事務所は営業拠点として活動の幅を広げる存在です。

両者の特徴を正しく把握すれば、免許手続きや人材配置で迷うことなく、効率的に不動産ビジネスを展開できます。

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