不動産会社の開業準備チェックリスト|0から始めるステップ解説

不動産業界での独立開業を目指す方にとって、「何から始めればいいのか」「どんな準備が必要なのか」が明確でないと、一歩を踏み出すのが難しくなりがちです。
この記事では、不動産会社を0から立ち上げるために必要な準備をステップ形式のチェックリストとして整理し、順を追ってわかりやすく解説します。これを見れば、開業に必要な手続き・書類・資格・資金の全体像がつかめるはずです。
不動産会社の開業準備チェックリスト|0から始めるステップ解説
ステップ1:事業計画を立てる
不動産会社といっても、仲介・売買・賃貸管理・投資用物件の販売など業態はさまざまです。まずは「何をやる会社なのか」を明確にしなければ、必要な準備も資金も見えてきません。
事業計画で検討すべき項目
- 取り扱う物件の種類(賃貸、売買など)
- 対象エリア(地域密着か広域か)
- 顧客ターゲット(個人、法人、投資家など)
- 開業資金と収支見通し
- 競合との差別化ポイント
- 集客手段(Web、ポータル、紹介など)
この事業計画は、金融機関の融資審査にも使われるため、しっかりと練り込む必要があります。

ステップ2:宅建士の確保
不動産業を営むには、事務所ごとに専任の宅地建物取引士(宅建士)を1名以上設置することが法律で義務付けられています。
自分自身が宅建士である必要はありませんが、開業時点で常勤の宅建士を確保しておく必要があります。
宅建士がいない場合の対処法
- 自分で取得する(取得までの期間は半年〜1年が目安)
- 有資格者を雇用する(人件費や採用リスクに注意)
宅建士は契約書への署名や重要事項の説明が可能な人物として不可欠な存在です。
ステップ3:事務所の確保と整備
宅建業免許を取得するには、一定の条件を満たす事務所が必要です。以下のような条件が求められます。
- 物理的に独立したスペースであること(自宅兼用の場合は区切りが必要)
- 机・椅子・書類棚・電話などの備品が整っていること
- 看板や表示があること(外から宅建業を営んでいると分かること)
契約形態にも注意
賃貸物件で開業する場合、「事務所利用可」であることが条件です。住居用契約やシェアオフィスでは免許が取得できないこともあるため、契約内容の確認が必須です。



ステップ4:免許申請の準備と取得
不動産業を始めるには、宅地建物取引業の免許を取得する必要があります。営業所が1都道府県内のみなら都道府県知事免許、複数にまたがる場合は国土交通大臣免許となります。
免許申請に必要な書類
- 申請書
- 法人登記事項証明書(法人の場合)
- 住民票や身分証明書
- 事務所の写真・賃貸契約書
- 宅建士の登録証
- 専任性を証明する誓約書
申請から許可が下りるまでには30日〜45日程度かかるのが一般的です。
ステップ5:保証協会加入または営業保証金の供託
免許が交付されても、すぐに営業は開始できません。営業を開始するには、以下のいずれかが必要です。
- 指定保証協会への加入(主に全国宅地建物取引業保証協会など)
- 営業保証金の供託(本店:1,000万円)
中小規模の事業者は資金面から保証協会への加入を選ぶケースが大半です。保証協会では入会金や年会費、分担金などの支払いが必要になります。


ステップ6:法人登記または開業届の提出
- 定款作成、公証人役場で認証
- 登記申請(法務局)
- 法人番号の取得
個人事業主として開業する場合
- 税務署に「開業届」を提出
- 青色申告承認申請書の提出(節税効果あり)
なお、不動産業では法人での開業が信頼面・融資面で有利とされることも多く、法人成りを視野に入れるケースが多く見られます。
ステップ7:開業資金の準備
不動産会社の開業には以下のような費用がかかります。
費目 | 目安金額 |
---|---|
事務所の賃料(保証金含む) | 約50〜150万円 |
備品・什器類 | 約20〜50万円 |
免許申請・登記費用 | 約5〜15万円 |
保証協会加入費 | 約100万円前後 |
ホームページ・広告費 | 約30〜60万円 |
合計で300〜500万円程度が必要となるのが一般的です。
融資や補助金の活用も検討
資金が足りない場合は、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や、地方自治体の創業支援補助金制度の利用も検討しましょう。



ステップ8:各種届け出と体制整備
- 税務署:開業届、青色申告申請
- 年金事務所:健康保険・厚生年金加入(法人または従業員ありの場合)
- 労働基準監督署:労災保険の加入
- ハローワーク:雇用保険の加入
あわせて、契約書フォーマットや業者間流通システム(レインズ等)の導入準備も進めておきましょう。
ステップ9:営業開始・集客活動のスタート
開業後は、以下のような営業・広報活動が重要になります。
- 自社ホームページの開設
- ポータルサイト(SUUMO、ホームズ等)への物件掲載
- SNSやチラシでの集客
- 地域の不動産会社や士業との連携
また、対応力の高い電話・メール・チャットなどの顧客対応ツールの整備も、反響獲得に影響します。
まとめ:チェックリストで一歩ずつ準備を進めよう
不動産会社の開業は、資格や資金、書類提出など多くの準備が必要ですが、チェックリスト形式で段階を踏めば、ひとつひとつ確実に進めていくことができます。
以下が今回のチェックリストのまとめです。
開業準備チェックリスト
- 事業計画の作成
- 宅建士の確保
- 事務所の確保と備品準備
- 宅建業免許の申請
- 保証協会加入または保証金供託
- 法人登記または開業届の提出
- 開業資金の準備
- 税務・労務の届け出
- 集客準備と営業開始
しっかりとした準備こそが、不動産業での安定経営・信頼構築の第一歩となります。開業前の不安を減らすためにも、早めに情報収集と準備を始めておきましょう。