不動産会社を合同会社で独立開業できる?メリット・デメリットを徹底解説

不動産会社を合同会社で独立開業できる?メリット・デメリットを徹底解説

不動産会社を立ち上げたいと考えたとき、会社形態を「株式会社」にするか「合同会社」にするかは多くの人が悩むポイントです。

特に近年は設立費用の安さや柔軟性から、合同会社で開業を検討する人も増えています。

しかし、不動産業という特性を踏まえると、合同会社のメリットとデメリットを理解した上で判断することが欠かせません。

この記事では、不動産会社を合同会社で開業できるのか、必要条件や資本金の目安、さらに株式会社との比較まで徹底解説します。

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  1. 不動産会社は合同会社でも開業できるのか
    1. 不動産業における合同会社設立の可否
    2. 株式会社との違いを理解する
  2. 合同会社で不動産業を始めるために必要な条件
    1. 宅地建物取引業免許の取得要件
    2. 専任の宅建士を配置するルール
    3. 事務所要件と保証協会加入について
  3. 不動産会社を合同会社で開業するメリット
    1. 設立費用が安くスピーディーに設立できる
    2. 役員構成や経営体制の自由度が高い
    3. 利益配分を柔軟に決められる
    4. 維持コストが株式会社より低い
  4. 合同会社で不動産業を営むデメリット
    1. 知名度・信用度が株式会社より低い
    2. 融資や取引の場面で不利になる可能性
    3. 上場できないなど将来の拡張性に制約がある
  5. 合同会社で不動産業を始める際に必要な資本金と費用
    1. 合同会社設立に必要な費用の目安
    2. 不動産開業にかかる初期投資
    3. 運転資金を含めた総額シミュレーション
  6. 合同会社と株式会社の比較|どちらで開業すべきか
    1. 設立費用・維持費用の違い
    2. 信用力・取引上の影響の比較
    3. 小規模独立なら合同会社、大規模展開なら株式会社
  7. 合同会社で不動産開業する際の注意点
    1. 資本金設定の考え方
    2. 融資を受けるために意識すべき信用対策
    3. 社名・組織形態が与えるイメージをどう補うか
  8. まとめ|合同会社での不動産開業は小規模独立に最適

不動産会社は合同会社でも開業できるのか

まず合同会社(LLC)とは、2006年の会社法施行で導入された法人形態で、少人数で設立できるシンプルな会社組織です。出資者全員が経営に参加でき、利益配分も自由に決められるのが特徴です。

不動産業における合同会社設立の可否

不動産業を営むには、法人格として株式会社でなければならないと誤解されることがありますが、実際には合同会社でも宅地建物取引業免許を取得できます。つまり、合同会社で不動産会社を設立することは法律上問題ありません。

株式会社との違いを理解する

合同会社は設立費用が安く、定款認証が不要という点でハードルが低い一方、社会的な信用力や認知度では株式会社に劣る面があります。不動産業は顧客から高額な契約を任されるため、この違いが実務に影響する可能性がある点は理解しておきましょう。

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合同会社で不動産業を始めるために必要な条件

宅地建物取引業免許の取得要件

合同会社であっても、宅地建物取引業免許を取得する必要があります。主な要件は以下のとおりです。

  • 専任の宅建士が1名以上在籍していること
  • 独立した事務所を用意していること
  • 欠格事由(破産歴や刑事罰など)に該当しないこと

専任の宅建士を配置するルール

免許を申請する際には、従業員5人に1人以上の割合で宅建士を配置する必要があります。

小規模で開業する場合は、代表者自身が宅建士資格を保有して専任となるケースが一般的です。

事務所要件と保証協会加入について

不動産会社は形態に関わらず、固定の事務所を構える必要があります。

さらに保証協会へ加入する際には数百万円規模の分担金が発生するため、資本金以外の初期資金が必要になる点に注意しましょう。

不動産会社を合同会社で開業するメリット

設立費用が安くスピーディーに設立できる

合同会社の設立費用は6万円程度で済み、株式会社に比べて大幅にコストを抑えられます。

定款認証が不要なため、設立までの期間も短く、独立を急ぎたい人に向いています。

役員構成や経営体制の自由度が高い

合同会社では取締役会の設置義務がなく、役員任期の更新も不要です。

経営の自由度が高いため、少人数で柔軟に経営を進めたい個人起業家にとっては大きな利点です。

利益配分を柔軟に決められる

合同会社では出資額に比例せず、出資者間の合意で利益配分を自由に決められます。

共同経営をする場合には、貢献度に応じて配分を調整できるため、柔軟な事業運営が可能です。

維持コストが株式会社より低い

合同会社は決算公告の義務がなく、登記変更の手間も少ないため、維持コストが低く抑えられます。

小規模で長期的に経営するには合理的な選択肢です。

合同会社で不動産業を営むデメリット

知名度・信用度が株式会社より低い

合同会社という形態はまだ社会的認知度が低く、顧客や取引先に「規模が小さい会社」という印象を与える可能性があります。特に高額な不動産取引では、信用面で株式会社に劣るケースがある点は否めません。

融資や取引の場面で不利になる可能性

銀行融資の審査や法人顧客との契約では、株式会社の方が安心感を持たれる傾向があります。

合同会社というだけで融資が通らないわけではありませんが、信用面でハンディキャップになる場面があります。

上場できないなど将来の拡張性に制約がある

合同会社は株式公開ができず、資金調達の手段が限られます。

将来的に大規模な展開を視野に入れている場合は、合同会社よりも株式会社の方が適しています。

合同会社で不動産業を始める際に必要な資本金と費用

合同会社設立に必要な費用の目安

合同会社の設立費用は定款印紙代4万円と登録免許税6万円の合計10万円前後で済みます。

株式会社に比べると約半額で設立できるため、初期費用を抑えたい人にとっては魅力的です。

不動産開業にかかる初期投資

ただし、合同会社の設立費用は安いものの、不動産業を始めるためには宅建業免許登録税(9万円)、保証協会の分担金(数百万円)、事務所費用、広告宣伝費などが必要です。総額では500万円以上かかるケースが一般的です。

運転資金を含めた総額シミュレーション

設立費用や免許取得費用に加えて、少なくとも6か月分の運転資金を用意しておくと安心です。物件紹介サイトへの掲載料や人件費、事務所維持費を考えると、資本金は300万円〜500万円を目安に準備するのが現実的といえます。

合同会社と株式会社の比較|どちらで開業すべきか

設立費用・維持費用の違い

合同会社は設立費用・維持費用が安く、小規模開業に向いています。一方、株式会社は設立コストが高いものの、社会的信用力が高く、資金調達や事業拡大に有利です。

信用力・取引上の影響の比較

高額な取引が中心となる不動産業では、取引先や金融機関からの信用を得やすい株式会社が有利です。合同会社でも問題なく経営は可能ですが、法人顧客を対象にする場合は不利になる可能性があります。

小規模独立なら合同会社、大規模展開なら株式会社

1人〜数人で始める不動産会社や、地域密着で小規模に経営したい場合には合同会社が適しています。将来的に従業員を増やし、支店展開や法人取引を積極的に行うなら、最初から株式会社を選んだ方がスムーズです。

合同会社で不動産開業する際の注意点

資本金設定の考え方

会社法上は1円でも設立可能ですが、実務的には信用を得るために最低100万円以上、できれば300万円以上の資本金を設定するのが望ましいです。

融資を受けるために意識すべき信用対策

金融機関からの融資を受ける際には、事業計画書の完成度や代表者の経歴が重視されます。合同会社の信用力を補うためにも、実績や専門性をしっかりアピールする必要があります。

社名・組織形態が与えるイメージをどう補うか

顧客に安心感を与えるためには、会社の信頼性を高める工夫が欠かせません。ホームページの充実や口コミの活用、地域密着型の営業活動を行い、組織形態以上に「信頼できる不動産会社」であることを伝えることが重要です。

まとめ|合同会社での不動産開業は小規模独立に最適

不動産会社は合同会社でも問題なく開業できます。設立費用の安さや柔軟な経営体制は大きなメリットであり、個人や少人数での独立には適しています。

一方で、信用力や将来の事業拡大という面では株式会社に劣る部分もあるため、自分の事業規模や将来の展望に応じて選択することが大切です。

資本金や初期費用の目安を理解し、無理のない計画を立てることで、不動産開業を成功に導くことができます。

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