不動産会社設立開業後、実際に営業をスタート・開始できるのはいつ?

不動産会社設立開業後、実際に営業をスタート・開始できるのはいつ?

不動産業での独立開業を目指す方の中には、「会社設立の手続きが終わったらすぐに営業できるのか?」と疑問を抱く方も多いでしょう。特に宅建業を営む場合、法人登記が終わってもすぐに営業を始められるとは限りません。

この記事では、不動産会社を開業するにあたって、実際に営業をスタートできるタイミングについて、必要な手続きや流れを踏まえて詳しく解説します。

会社を設立しただけでは営業できない理由

不動産会社として営業を行うには、法人登記を完了させるだけでは不十分です。不動産取引(賃貸・売買の仲介や管理など)を事業として行うためには、「宅地建物取引業免許(通称:宅建業免許)」を取得する必要があります。

つまり、営業開始には以下の2段階が必要です。

  1. 法人の設立(会社登記)
  2. 宅建業免許の取得と免許通知後の免許証交付

この2つをクリアして初めて、法的に不動産業として営業を開始できる状態になります。

不動産会社を開業して営業を開始できるまでの流れ

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法人設立(会社登記)

まずは法人口座の開設や契約書作成に必要な、会社の登記(設立登記)を行います。株式会社の場合、定款の作成・認証→出資→登記申請→登記完了という手順です。通常、登記申請から登記完了までは約1週間程度かかります。

法人登記が完了すると、法人番号の通知と登記事項証明書が取得可能になります。これらの書類が、次のステップである宅建業免許申請に必要になります。

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宅建業免許の申請

記が完了したら、都道府県の担当部署(建設部や都市整備局など)に対し、宅建業免許の申請を行います。必要書類は多く、以下のようなものが含まれます。

  • 登記事項証明書
  • 定款のコピー
  • 事務所の使用権限を示す書類(賃貸借契約書など)
  • 宅建士の資格証と専任証明書類
  • 営業保証金または弁済業務保証金分担金に関する書類
  • 事務所の写真や電話番号、机・キャビネットなどの備品確認書類

提出後、行政庁による審査・実地調査などが行われ、問題がなければ免許通知が発行されます。

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免許通知後、営業保証金の供託(または保証協会に加入)

宅建業免許の通知を受けた段階では、まだ営業を開始できません。次に必要なのが「営業保証金」の供託です。2つの方法があります。

  1. 主たる事務所ごとに1000万円を法務局に供託する
  2. 全国宅地建物取引業保証協会などに加入し、60万円程度の弁済業務保証金分担金を納付する

多くの開業者は②の保証協会加入を選択します。分担金が安価で済み、事務手続きのサポートも受けられるからです。

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保証協会による届出完了→営業開始

保証協会への加入と分担金納付が完了すると、協会側が行政庁に届出を行います。この「届出完了」の通知をもって、初めて宅建業者として正式に営業を開始することができます。

この「届出完了日」が、不動産会社としての営業開始日となります。

不動産会社開業までの所要日数の目安

項目期間の目安
会社設立約1週間
宅建業免許申請~通知約3〜5週間
保証協会加入~届出約1〜2週間
合計約6〜8週間

準備がスムーズに進んだ場合でも、会社設立から実際の営業開始までは約1.5〜2ヶ月を見込んでおくのが現実的です。

よくある勘違い:「免許通知が来たら営業していい?」

多くの方が誤解しがちなのが、「免許通知を受け取った=営業開始OK」と考えてしまう点です。

実際には、「保証金の供託 or 保証協会への加入→届出完了」の工程を経なければ営業できません。行政庁からの免許通知書には、「保証金に関する手続きが完了するまでは営業不可である旨」が明記されています。

保証協会からの「届出完了通知書」が届くまでは広告活動や契約行為などは控える必要があります。

不動産営業開始前に整えておくべきこと

宅建業者として営業開始するためには、次のような準備も必要です。

宅建業法に基づく標識(看板)の設置

営業開始には、事務所内外に宅建業法に準拠した「標識(案内看板)」を掲示する義務があります。宅建業免許番号、商号、代表者名、所属保証協会などの記載が必要です。

契約書・重要事項説明書などの帳票準備

売買や賃貸契約を行うには、法令に沿った書式を整えておく必要があります。ひな形や電子契約ツールの導入も検討しましょう。

ホームページや広告の準備

営業開始後すぐに集客できるよう、ウェブサイトや物件情報ポータルへの掲載、のぼり・チラシなどの販促物も事前に整えておくとスムーズです。

まとめ:不動産会社の営業開始には「免許取得+保証協会の届出完了」が必須

不動産会社の設立後、実際に営業をスタートできるのは、「宅建業免許の取得」と「保証金供託または保証協会の届出完了」が完了してからです。

単に法人を設立しただけ、あるいは免許通知を受け取っただけでは、法的には営業を行うことはできません。

スムーズな開業を目指すなら、登記から免許取得、保証協会手続きまでの流れを理解し、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。

特に以下の3点を押さえることが重要です。

  • 営業開始には宅建業免許だけでなく保証協会手続きが必要
  • 届出完了までは広告・契約などは不可
  • 一連の流れには6〜8週間程度かかるのが一般的

正しい手順とスケジュールで準備を進め、万全の状態で営業開始日を迎えましょう。

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