宅建業の標識設置ルール|位置・サイズ・記載内容の完全ガイド

不動産会社を開業する際、宅建業免許の取得とあわせて必須となるのが「標識(宅建業者票など)」の掲示です。これは単なる飾りではなく、法律で定められた正式な掲示義務であり、設置しなければ営業開始できません。
この記事では、宅建業の標識(免許票・業者票・報酬額表)の種類と設置ルールについて、位置・サイズ・記載内容の詳細を完全ガイドとしてわかりやすく解説します。
宅建業に必要な「3つの標識」とは?
宅建業法により、不動産会社は次の3種類の標識(掲示物)を事務所内に設置することが義務づけられています。
標識名 | 内容の概要 |
---|---|
宅建業者票 | 商号・免許番号・代表者名などの基本情報を記載 |
報酬額表 | 仲介手数料など、報酬の上限額・計算方法を表示 |
免許票(知事票) | 公印が押された正式な免許証(原本) |
いずれも、事務所の見やすい場所に常時掲示することが義務となっており、怠ると指導や免許取消の対象になる場合もあります。
宅建業者票(通称:業者票)の設置ルール
設置義務とタイミング
宅建業者票は、宅建業を行うすべての「主たる事務所・従たる事務所」に掲示する必要があります。免許を受けてから営業を開始する前までに設置しておくことが義務です。
記載内容
以下の項目を正確に記載する必要があります。
内容は最新かつ正確な情報であることが求められ、記載ミスや古い情報のまま放置していると行政指導の対象になることがあります。
サイズと素材
- 縦35cm × 横35cm以上
- 金属またはこれに類する耐久性のある素材
紙やラミネート加工した掲示物では不可です。アクリル板・アルミプレート・ステンレス板などの素材が一般的です。
設置場所
- 事務所の来客スペースや受付から見える場所
- 壁面などにしっかり固定すること(自立式は不可の場合あり)
- 地方自治体によっては、玄関正面から見える位置に設置を求めるケースもあるため注意
報酬額表の設置ルール
報酬額表は、不動産仲介で受け取る手数料などの上限金額とその計算方法を示す掲示物です。
消費者保護の観点から、明確な表示が義務づけられています。
記載内容
- 売買・賃貸ごとの仲介手数料の上限額
- 計算方法の具体的な内訳(例:400万円以上→3%+6万円など)
- 消費税の取り扱いについての表記
- 免許番号・商号などの記載も必要
サイズと素材
- サイズの指定はないが、文字が明瞭に読める大きさで作成すること
- 耐久性を考慮し、アクリル・アルミなどのプレート素材が推奨
ラミネートした紙で掲示している事業者もありますが、劣化や外れのリスクがあり、行政指導の対象となる場合があります。
設置場所
- 宅建業者票と並べて設置するのが基本
- お客様から見てわかりやすい位置に固定
- カウンターの裏や隠れた場所はNG
宅建業免許証(免許票)の設置ルール
「知事票」とも呼ばれる正式な免許証
- 免許取得後に都道府県から交付される正式な許可証
- 封筒に入れられた状態で送付される(B4またはA3サイズ)
設置義務とタイミング
- 免許取得後、遅滞なく主たる事務所に掲示
- 原本をそのまま掲示する必要がある
コピーや縮小版では認められません。
設置方法
- 額縁に入れて壁面へ固定する形式が一般的
- 他の掲示物と並べてレイアウトすることで、見た目の整合性を保てる
複数店舗を展開する場合の標識掲示ルール
主たる事務所と従たる事務所の違い
種別 | 必要な掲示物 |
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主たる事務所 | 宅建業者票・報酬額表・免許票 |
従たる事務所 | 宅建業者票・報酬額表のみ |
※免許票(知事票)は主たる事務所にのみ掲示します。
管轄自治体によるローカルルールにも注意
一部の自治体では、標識の設置方法や位置について細かく定めている場合があります。事前に管轄の建築・都市整備課などに確認しておくのが確実です。
標識を揃える方法と費用の目安
業者への注文が一般的
多くの不動産会社は、標識制作を専門業者に依頼しています。内容の誤りや法令違反を避けるためにも、実績ある業者の利用がおすすめです。
費用の目安
種類 | 費用相場(1枚あたり) |
---|---|
宅建業者票 | 約5,000円〜10,000円 |
報酬額表 | 約3,000円〜6,000円 |
額縁(免許票用) | 約1,000円〜3,000円 |
セットで発注すれば、1万円〜1.5万円前後で一式そろえることが可能です。
まとめ:標識の掲示は宅建業の信頼の証。正しく設置を
不動産会社の開業時には、宅建業者票・報酬額表・免許票の3点を正しく掲示することが必須です。
掲示物の内容・サイズ・設置場所には明確なルールがあり、それを守らなければ営業開始すらできません。
また、これらの標識は顧客の信頼感や行政対応にも直結する重要な要素です。
見た目の整った設置を心がけ、開業時のチェックリストに必ず組み込んでおきましょう。
正しい標識掲示が、誠実な不動産会社としての第一歩となります。