不動産会社を開業するなら来客を見込んで路面店のほうがよい?

不動産会社を開業する際、「オフィスは路面店にすべきか、それともビルの上階など家賃が抑えられる場所でよいか?」という判断に迷う方は多いはずです。
特に「集客力」や「信頼感」を重視する業界において、路面店の必要性は慎重に検討すべきテーマです。
この記事では、路面店のメリット・デメリットや、向いている業態、非路面店でも成功するケースについて、実例を交えて解説します。
路面店と非路面店の違いとは?
路面店とは?
人通りのある道路に面した1階の店舗のこと。看板や内装が通行人の目に触れるため、視認性が高く、「地域密着型の実店舗」としての信頼感が得やすいです。
非路面店とは?
ビルの2階以上や、集合オフィス内、あるいは自宅兼事務所など、通りに面していない立地。賃料は抑えられる反面、通行人からの視認性は低く、来店目的の集客は難しくなります。
不動産会社の事務所:路面店のメリット・デメリット
認知度・信頼感の向上
「不動産会社=地元密着型」の印象が強く、目に見える店舗は安心感につながります。
とくに高齢者層やファミリー層には、実店舗の存在が問い合わせのハードルを下げる要素になります。
飛び込み来店の可能性
駅前・商店街などでは、買い物ついでや通勤途中の立ち寄りも期待できます。
「店頭に出した物件情報を見て来店」という導線を作りやすいです。
ブランディングしやすい
ガラス張り・おしゃれな内装・清潔感のある受付など、物理的な空間を活かしたブランドづくりが可能です
保証料・初期費用が高い
同じエリアでも路面1階は賃料が2〜3倍になるケースも。保証金や内装費も高くなります。
維持コストがかさむ
電飾看板や空調、店頭ディスプレイなど、常に外から見える分、見栄えにお金をかけ続ける必要があります。
集客できる保証がない
路面店を構えても、認知されなければ意味がありません。Webでの情報発信やMEO対策など、来店を促す仕組み作りが必要不可欠です。
非路面店(2階以上・事務所タイプ)のメリット・デメリット
賃料が安く、運転資金に余裕が生まれる
浮いた資金を広告・人件費・ツール導入に回せる点は、開業初期において大きな利点。
静かな環境で業務に集中できる
来客対応よりも、反響営業・追客・資料作成が主な業務であれば、静かな環境の方が効率的です。
MEOやポータルサイトでの問い合わせが中心なら問題なし
来店前に予約や内見日時を調整するスタイルなら、立地による集客力は大きな問題になりません。
通りがかりの集客はほぼゼロ
完全予約制や紹介制にしない限り、自社の存在を知ってもらう手段が限られます。
信頼性がやや劣ると感じられるケースも
特に「会社名で検索したがビルの2階で看板もない…」という状況だと、ユーザーの不安につながる場合もあります。
路面店が向いている不動産会社の特徴
地域密着型の賃貸仲介を主力とする会社
ターゲットが単身者や地元ファミリー層で、物件を探す→ふらっと来店という行動導線が想定される場合。
高齢者やデジタルに不慣れな層を主要顧客とする場合
店舗の存在が信用に直結するため、路面に看板がある=安心感と認識されやすいです。
地元での知名度を早く得たい開業者
開業から1年以内にエリアでの認知を取る必要があるなら、視認性は大きな武器になります。
非路面型で成功する不動産会社の特徴
ポータルサイト・自社サイト経由の反響営業が主軸
SUUMO・アットホーム・ホームズなどを活用し、来店前提ではなく予約→案内のスタイルなら、立地より営業体制が重要。
BtoBメインや投資用物件中心の事業モデル
個人客の飛び込みが少ない業態では、路面の価値は薄れます。
コストを抑えて身軽にスタートしたい独立開業者
「まずは1人で開業し、売上が軌道に乗ったら拡大」という段階的な戦略では、初期コストを抑えた非路面型が合理的です。
判断ポイント|あなたのビジネスモデルに合っているか?
判断項目 | 路面店が向いている | 非路面店が向いている |
---|---|---|
飛び込み来店を狙いたい | ○ | × |
Web経由の完全予約営業が中心 | △ | ○ |
地域に強く根ざしたブランドを作りたい | ○ | △ |
初期費用をできるだけ抑えたい | × | ○ |
高齢者・アナログ層がメイン客層 | ○ | × |
投資用・法人向けがメイン | × | ○ |
「顧客導線」と「事業戦略」に照らして判断することが重要です。
まとめ|来客数だけで決めず、戦略に合う形を選ぼう
不動産開業にあたって路面店が必ずしも正解とは限りません。
むしろ、開業初期は固定費を抑えて利益を最大化することが重要であり、非路面型でWeb集客に注力する戦略も十分に成り立ちます。
ただし、店舗型での信頼感や地元への露出を重視するなら、路面店の価値は高まります。
最終的には、「自社のビジネスモデルと顧客層に合っているかどうか」が判断の基準です。
開業後に後悔しないためにも、「見栄え」や「なんとなく」で決めず、事業計画と照らし合わせて立地を検討しましょう。