看板・のぼりは許可が必要?不動産会社が知っておくべき設置ルールと注意点

看板・のぼりは許可が必要?不動産会社が知っておくべき設置ルールと注意点
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不動産会社を開業する際、集客ツールとして欠かせないのが「看板」や「のぼり」です。設置することで店舗の存在感や認知度が高まり、来店や問い合わせにつながるケースも少なくありません。

しかし、これらの看板やのぼりには、設置する場所やサイズによって法的な許可が必要になることもあるのをご存知でしょうか?違反した場合、撤去命令や罰金の対象になる可能性もあるため、事前の理解が不可欠です。

この記事では、不動産会社が知っておくべき「看板・のぼり設置のルールや許可の必要性」「各種注意点」「トラブルを避けるコツ」などを詳しく解説します。

看板やのぼりの設置に法律上のルールはある?

日本では、屋外に設置する看板・のぼりには「屋外広告物法」および「各自治体の屋外広告物条例」が適用されます。

これらの法律では、広告物のサイズ・設置場所・デザインなどについて一定の制限が設けられており、違反すると行政指導や罰則の対象になります。

「屋外広告物法」とは?

屋外広告物法は、街の景観を守ることや安全性を確保することを目的とした法律です。以下のような広告物が対象となります。

  • 壁面看板
  • 自立式の大型看板
  • スタンド看板
  • のぼり旗
  • ポスター類(屋外に掲示するもの)

この法律では、広告物を設置するために「許可」が必要なケースがあるほか、地域や内容によって設置が禁止または制限されるエリアも存在します。

自治体ごとに細かい条例がある

屋外広告物に関する具体的なルールは各都道府県や市区町村が定める「屋外広告物条例」によって異なります。

例えば、

  • 高さや面積に関する上限
  • 設置場所(公道沿い、電柱、公共物など)の可否
  • 景観保護地区での色彩や照明の制限

といったルールは自治体によって大きく異なります。そのため、事務所のある地域の自治体で、必ず事前に確認することが重要です。

不動産会社の看板・のぼりで許可が必要になる主なケース

すべての看板・のぼりが許可対象というわけではありませんが、次のようなケースでは許可申請が必要になることが多くなります。

大型の看板や高所への設置

建物の上部に設置する壁面看板や屋上看板、高さ4mを超える自立式看板などは、景観や安全性への影響が大きいため、許可が必要になることが一般的です。

また、強風時の落下などによる事故を防ぐために、設置構造や安全基準についても審査されます。

公道や歩道にスタンド看板を置く場合

店舗前にA型看板やスタンド型の案内板を置くのは一般的ですが、それが公道(歩道)上に出ている場合は、道路占用許可が必要になることがあります

道路交通法や建築基準法上の占用規制により、無許可で置いた看板が撤去される、または指導を受ける事例も少なくありません。

のぼり旗の連続設置・公共空間での使用

のぼり旗を5本以上連続して設置する、あるいは公園や駅前広場など公共空間で掲示する場合には、屋外広告物条例の適用対象になることが多く、事前申請が求められるケースがあります

また、派手な色使いやLED付きののぼり旗なども、一部地域では規制対象になる場合があります。

不動産会社の看板・のぼりで許可が不要となる代表的な例

逆に、以下のようなケースでは原則として許可が不要となる場合が多いです(ただし例外あり)。

  • 店舗敷地内に収まっている小型看板
  • 建物内(ガラス内側)から外に向けて貼る案内
  • 自社敷地内で高さや面積が条例基準を満たさないのぼり

ただし、「敷地内」と判断される範囲には注意が必要です。歩道にはみ出しただけでも指導対象になることがあります。

不動産会社の看板・のぼりのトラブルを防ぐためのチェックポイント

設置場所の所有者・管理者の承諾を得る

店舗が入居する建物が賃貸物件である場合、外壁や共用部に看板やのぼりを設置するにはオーナーや管理会社の許可が必要です。無断で設置した結果、撤去を命じられたり、トラブルになるケースもあります。

また、商業施設やビルの共有スペースに立て看板やポスターを出す場合も、施設管理者のルールに従うことが基本です。

風対策・安全対策を徹底する

のぼりや自立看板は風の影響を受けやすく、強風時に倒れたり飛ばされたりするリスクがあります。転倒防止用の重りを使用する、天候が悪い日は撤去するなど、周囲の安全に配慮した設置と管理が求められます

第三者にケガをさせた場合、店舗側が損害賠償責任を負うこともあるため、安易な設置は禁物です。

景観への配慮も大切

歴史的建造物が多いエリアや観光地、住宅街では、過度に派手な看板や色彩、点滅する照明などが景観を損なうものとして条例で禁止されている場合もあります

「広告効果が高い」だけでなく、地域の特性やルールを尊重した設計・デザインを意識することが、長期的な信頼構築にもつながります。

不動産会社の看板・のぼり許可申請の手続きはどう行う?

屋外広告物の許可を申請する場合、事業所の所在地を管轄する自治体の都市計画課や建築指導課などで手続きを行います。

申請時に必要となる主な書類
  • 設置場所の位置図・写真
  • 看板やのぼりのデザイン図・寸法
  • 設置方法の詳細
  • 許可申請書類一式(自治体所定の様式)

自治体によっては、事前相談を受け付けており、要不要の判断や指導も行ってくれます。初めての開業時は、申請不要かどうかを含め、必ず確認をとるようにしましょう。

まとめ:看板・のぼりの設置には「地域のルールを守る」意識が不可欠

不動産会社にとって、看板やのぼりは店舗の存在を知らせ、集客につなげる重要な武器です。しかし、設置方法や場所によっては法的な許可が必要になったり、他者とのトラブルを招くリスクもあるということを理解しておく必要があります。

特に屋外設置を検討している場合は、地域の条例や管理者の規定を事前に確認し、適切な手続きを踏むことが信頼ある店舗運営につながります。

コストも手間も比較的少ない広告手段だからこそ、「出せばいい」ではなく、「正しく出す」ことが、集客だけでなく地域からの信頼構築にもつながっていくのです。

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