【実例あり】レンタル・コワーキングオフィスで不動産会社を開業した成功・失敗体験談

【実例あり】レンタル・コワーキングオフィスで不動産会社を開業した成功・失敗体験談

不動産業での独立開業を検討する中で、初期費用を抑える手段として「レンタルオフィス」や「コワーキングスペース」の活用を考える方は少なくありません。

しかし、宅建業免許の取得には厳格な事務所要件があり、「借りたものの免許が取れなかった」「開業後に支障が出た」といった失敗談もあります。

この記事では、レンタルオフィス・コワーキングオフィスを活用して不動産会社を開業した実例をもとに、成功と失敗の体験談を紹介し、どのような点に注意すべきかを具体的に解説します。

そもそもレンタル・コワーキングオフィスで不動産会社を開業できるのか?

ポイントは「宅建業免許が取得できる事務所かどうか」

宅建業を営むには、宅建業免許が必要です。この免許の取得には、以下のような事務所要件が課されています。

  • 独立した鍵付きの個室であること
  • 継続して使用できる契約であること
  • 宅建士が常駐可能であること
  • 標識や報酬額表などの掲示が可能であること

つまり、「共有スペース」や「フリーアドレス型」のコワーキングスペースでは、原則として免許を取得することはできません。一方で、個室型のレンタルオフィスや専用ブースであれば、条件を満たせば開業が可能です。

成功事例:レンタルオフィスで無理なく開業できたケース

ケース①:開業実績のあるレンタルオフィスを選びスムーズに免許取得

地域:東京都中央区/開業者:40代男性・元ハウスメーカー勤務

不動産業界で10年の経験を積んだ後、独立開業を目指してリージャスの個室型レンタルオフィスを契約。開業前にリージャスの営業担当から「宅建業開業実績のある部屋」を紹介され、内見時に行政提出用の写真も撮影。賃貸借契約書に「専用使用」が明記されていたため、免許申請もスムーズに通過

家具付き・インターネット完備のため、初期費用は10万円以内に抑えられたとのこと。現在はポータルサイトからの集客を軸に、一人経営を継続中。

成功ポイント
  • 宅建業開業実績のある物件を選んだ
  • 事前に管轄行政に相談・確認していた
  • 最小限の設備投資で業務開始できた

ケース②:小規模なコワーキングの個室ブースで免許取得に成功

地域:名古屋市/開業者:30代女性・異業種からの参入

カフェ経営から不動産業への転向を目指し、個人事業として開業。市内のコワーキングスペースに鍵付きの個室プラン(月額4万円)があったため契約。オーナーに相談し、標識掲示と来客対応の許可を事前に取得。契約内容も免許申請に耐えるもので、写真・間取り・掲示スペースを整えた上で申請し、免許取得。

開業当初はポータル掲載ではなく、SNSと知人紹介のみで地元密着の営業を展開。現在も同じスペースで営業を続けている。

成功ポイント
  • 管理者と密に連携し、申請に必要な条件を整えた
  • 最低限の費用で立地の良い拠点を確保
  • フレキシブルな働き方に適した環境選びができた

失敗事例:免許が取得できなかった・途中で移転したケース

ケース①:フリーアドレスのコワーキングスペースで免許NG

地域:大阪市/開業希望者:50代男性・不動産営業経験あり

低コストを重視して、月額1万円のコワーキングスペースを契約。宅建業免許の申請をしたが、現地調査で「独立性がない」「専有スペースが確認できない」と判断され、不許可に。

結局、再申請のために別のレンタルオフィスに移転。再契約・移転費・再申請で余計なコストと時間がかかってしまったとのこと。

失敗要因
  • フリーアドレスのため、独立性の要件を満たさなかった
  • 事前に行政に確認せずに契約してしまった
  • 管理者が宅建業への理解がなかった

ケース②:内装が不十分で行政に指摘された

地域:横浜市/開業者:40代女性・独立初挑戦

安価なレンタルオフィス(2坪)を契約したものの、内装を簡素に済ませたため、机・椅子・キャビネット・掲示スペースなどが不足。申請後の現地調査で「業務ができる環境とは認められない」との指摘を受け、設備を整えた上で再訪問となった。

結果的に免許は取得できたが、開業が1ヶ月以上遅れた

失敗要因
  • 開業コストを抑えすぎて必要設備が不十分だった
  • 申請前に写真・レイアウトをしっかり準備していなかった

成功のために必要なチェックリスト

契約前に確認すべきこと

  • 鍵付きの個室か?独立性はあるか?
  • 契約書に「専用使用」の文言があるか?
  • 標識・業者票の掲示が許可されているか?
  • 管轄行政(都道府県)に事前相談したか?
  • 他の不動産事業者の開業実績があるか?

契約後に準備しておくべきこと

  • オフィス内外観の写真撮影(掲示物含む)
  • レイアウト図・間取り図の作成
  • 宅建士の就任承諾書と実務経験証明
  • 業務用の机・椅子・電話・書類棚などの設置

まとめ:低コストでも成功できる。だが準備と下調べがカギ

レンタルオフィスやコワーキングスペースを活用すれば、従来よりもはるかに低コストで不動産会社を開業することは可能です。しかし、宅建業免許の事務所要件は想像以上に厳しく、選び方を間違えると「契約したのに使えなかった」という失敗に陥ります。

成功のためには以下を徹底しましょう。

  • 「宅建業で使えるか」を最優先に物件を選ぶ
  • 契約前に必ず行政へ相談する
  • 実例がある施設を選ぶと安心
  • 開業前の整備と書類準備を怠らない

形式だけでなく実体のあるオフィス環境を整えることが、免許取得と安定した開業の鍵になります。低コストでも誠実で信頼される不動産事業を築く第一歩として、正しい準備を整えましょう。

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