宅建業免許の取得方法|必要書類・費用・取得までの流れ

不動産会社を開業するには、「宅地建物取引業免許(宅建業免許)」を取得する必要があります。
この免許は、不動産の売買・賃貸・仲介・代理といった業務を行う際に必須であり、無免許での営業は違法行為となります。
この記事では、宅建業免許の取得方法について、必要書類、費用、取得までの流れをわかりやすく解説します。
これから不動産業に参入したいと考えている方や、法人設立後に手続きへ進む方は、ぜひ参考にしてください。
宅建業免許とは?
宅建業免許とは、「宅地建物取引業を営むための許可」であり、以下の業務を行うためには必ず取得が必要です。
これらの業務を反復・継続して行う場合は、個人・法人を問わず、宅建業免許が必要です。
免許の種類は2つ
- 都道府県知事免許
→ 営業所が1つの都道府県内にある場合 - 国土交通大臣免許
→ 営業所が2つ以上の都道府県にまたがる場合
一般的な開業であれば、都道府県知事免許で十分です。
宅建業免許の取得要件
宅建業免許を取得するには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。
1. 宅建士の専任設置
各事務所ごとに、専任の宅地建物取引士を1名以上配置する必要があります。
- 宅建士証を保有していること
- 実務に常勤していること(他の会社と兼業は不可)
- 雇用関係が明確であること(社会保険加入が目安)
2. 欠格事由に該当しないこと
申請者や役員に以下のような事由があると、免許を取得できません。
- 禁錮以上の刑の執行から5年以内
- 宅建業の免許取り消しから5年以内
- 暴力団関係者
- 成年被後見人・被保佐人など
3. 事務所要件を満たすこと
以下のような基準を満たす事務所が必要です。
- 独立した専用スペースがあること
- 机・椅子・電話など業務設備があること
- 標識を掲示できる場所があること
- 実態として継続的な使用が確認できること(バーチャルオフィス不可)
必要書類一覧(法人の場合)
法人で宅建業免許を取得する場合、主に以下の書類が必要です(都道府県により若干異なります)。
申請者・法人に関する書類
- 免許申請書(様式第1号)
- 役員の略歴書
- 誓約書
- 住民票(本籍記載あり)
- 登記されていないことの証明書(法務局で取得)
- 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
専任宅建士に関する書類
- 宅建士証のコピー
- 専任の確認書
- 雇用契約書や社会保険証のコピー(常勤性の確認用)
事務所に関する書類
- 使用権限を示す書類(賃貸借契約書など)
- 事務所の写真(外観・内観)
- 付近案内図・事務所案内図
- 法人印鑑証明書
その他
- 法定添付書類一覧表(チェックリスト)
- 委任状(行政書士に依頼する場合)
個人事業主で申請する場合は、役員に関する書類の代わりに本人分の提出が必要です。
宅建業免許の取得費用
宅建業免許の取得には、次のような費用がかかります。
費用項目 | 金額(目安) |
---|---|
申請手数料(都道府県知事) | 33,000円(非課税) |
申請手数料(大臣免許) | 90,000円(非課税) |
営業保証金(供託の場合) | 1,000万円(法務局) |
保証協会加入費(任意) | 約150万~200万円前後 |
保証金については、一般的に保証協会に加入することで大幅にコストを抑えることが可能です。
供託では1,000万円が必要ですが、保証協会に加入すれば約60万円前後の弁済業務保証金分担金で代替可能です。
宅建業免許取得の流れ
申請から免許交付までの流れは次の通りです。
法人設立・事務所準備
法人登記を済ませ、宅建業法に準拠した事務所の確保・整備を行います。
書類準備・記入
必要書類を集め、免許申請書一式を作成します。ミスや不備があると再提出になるため、専門家への確認がおすすめです。
管轄の窓口に申請
本店所在地の都道府県庁(または各地域の宅建課)に提出します。代理人(行政書士)による申請も可能です。
審査(約30〜45日)
都道府県による書類審査が行われ、問題がなければ免許が交付されます。免許証番号や有効期間が通知され、営業可能となります。
標識の掲示・帳簿整備など
免許が下りたら、業者票(標識)の掲示や法定帳簿の準備を行います。取引台帳、重要事項説明書などの雛形も整えておきましょう。
まとめ:免許取得は「準備力」と「正確さ」がカギ
宅建業免許の取得は、不動産会社として事業を開始するための必須ステップです。必要書類の数も多く、事務所要件や専任宅建士の配置など、事前の準備が重要になります。
特に初めての開業では、「知らなかった」「不備があった」で申請が通らず、開業が遅れてしまうケースも少なくありません。
スムーズに免許を取得するには、次のポイントを押さえておくと安心です。
正確な準備と計画的なスケジュール管理によって、無理なく免許取得を進めることができます。開業後にトラブルにならないよう、法令を遵守しながら、安心してスタートを切りましょう。