異業種から不動産FCに加盟したけど経験者の採用はどうすれば?

異業種から不動産FCに加盟したけど経験者の採用はどうすれば?

異業種から不動産業界に参入しようと考えたとき、フランチャイズ(FC)への加盟は強力な選択肢となります。ブランド力やノウハウ、集客支援が受けられる一方で、実務経験のない経営者にとって最大のハードルが「宅建資格者や不動産経験者の確保」です。

この記事では、異業種から不動産フランチャイズに加盟を検討している方に向けて、経験者採用の必要性と具体的な採用手段、注意点を詳しく解説します。

不動産フランチャイズ参入に経験者は必要か?

宅建士がいなければ開業できない

不動産業の開業には、「専任の宅地建物取引士(宅建士)」の設置が義務付けられています。経営者自身が宅建士でない場合、外部から有資格者を採用するか、資格を持つ共同経営者を確保する必要があります。

また、フランチャイズ本部によっては「一定年数の業界経験者を配置すること」を加盟条件に掲げているケースもあり、経験者の採用は事実上の必須要件です。

即戦力としての実務経験者の価値

不動産営業には、物件情報の扱い方、重要事項説明書の作成、契約締結、内見対応など、法律と実務の知識が求められます。これらをゼロから学ぶのでは時間がかかるため、経験者を採用して現場を任せられる体制が早期黒字化のカギとなります。

FC加盟時に不動産経験者を採用する方法と成功のポイント

経験者を採用するには、採用チャネルを見極めたうえで、自社に合った採用戦略を立てる必要があります。

1. 不動産特化の転職サイトを活用する

一般的な転職サイトよりも、不動産業界に特化した媒体の方が質の高い経験者が集まりやすい傾向があります。以下のような媒体を検討するとよいでしょう。

  • リブロ不動産キャリア
  • 不動産キャリア
  • 求人ボックス(不動産カテゴリ)

掲載料はかかりますが、専門性のある応募者と出会える可能性が高いため、スピード採用を目指すなら有力な選択肢です。

2. フランチャイズ本部からの紹介を依頼する

一部のフランチャイズ本部では、過去の離職者ネットワークや独自の人材データベースを保有しており、加盟者に向けて経験者を紹介してくれるサービスを提供している場合があります。

契約前に、「経験者採用の支援制度があるか」「紹介実績があるか」を確認しておきましょう。

荒川 竜介

ただし、経験上、本部からの紹介は期待しないほうが無難です。結局紹介された方が馴染むことができずに退職していくというのはよく聞く話です。

3. 知人紹介・業界人ネットワークを活用

意外と見落としがちなのが、同業者からの紹介や元不動産会社の知人を通じた採用です。不動産業界は比較的人材の流動性が高いため、条件次第で転職を検討する人も多くいます。

異業種出身でも、人脈を活かせば「即戦力の宅建士」を口説けるケースもあるため、経営者自身のネットワークを一度棚卸ししてみる価値はあります。

4. 業務委託・副業人材として試用する

いきなり正社員として雇用するのではなく、副業・業務委託という柔軟な形で宅建士や経験者と契約する方法もあります。たとえば、週1回の契約チェックや事務所常駐によって宅建士要件を満たすケースもあるため、フルタイム雇用が難しい場合に有効です。

FC立ち上げ時に不動産経験者採用で注意すべきポイント

宅建資格の「専任性」を確認する

宅建業法では、専任の宅建士は「常勤」であることが定められています。副業やダブルワークの宅建士は専任者として認められない場合があるため、採用時には「他の宅建業者に登録していないか」「週の勤務時間は基準を満たしているか」を確認しましょう。

過去の勤務態度・業務スタイルに注意

経験者だからといって安心はできません。不動産業界には独自の商習慣があるため、過去の勤務スタイルや営業方針が自社にマッチするかも見極める必要があります。売上至上主義で強引な営業をするタイプの人材を採用すると、ブランドやクレームリスクにもつながります。

人件費と事業採算のバランス

経験者・有資格者の人件費は高めに設定する必要があります。初期コストとして月30万円以上を想定しておくと現実的です。予算に限りがある場合は、「正社員+業務委託」や「パート+資格取得支援」など柔軟な体制を構築しましょう。

不動産経験者に設定すべき給料の目安とは

不動産業界の経験者を採用するにあたって、適切な給料設定は非常に重要な判断材料です。経験者が求める水準と、開業初期の事業採算性のバランスをどう取るかが、採用成功のカギとなります。

月給は25万円〜40万円が一般的な相場

不動産営業職や宅建士の正社員としての採用では、基本給として25万〜30万円前後が平均的です。ただし、以下のような条件によって変動します。

  • 宅建士資格の有無:+2万〜5万円が加算される傾向
  • 管理職経験あり:30万円以上を提示する企業が多い
  • 完全歩合制とのハイブリッド:基本給20万+インセンティブ方式も存在

開業初期でキャッシュフローに余裕がない場合でも、最低ラインとして25万円前後の提示が求められると考えましょう。

宅建士資格手当は別途設定がおすすめ

宅建士には、契約時の重要事項説明を行う独占業務があるため、資格手当を明確に設定しておくことが望ましいです。一般的な宅建士手当は、月額2万円〜3万円程度が多く、職務の重さに応じて変動します。

たとえば以下のような設定が現実的です。

  • 基本給:27万円
  • 宅建士手当:3万円
  • 総支給額:30万円

こうすることで、宅建士としての貢献を明確に評価でき、モチベーション維持にもつながります。

歩合制・インセンティブは慎重に設計

営業職として採用する場合、インセンティブ制度を設けることで成果重視の体制が整います。ただし、不動産仲介は案件のサイクルが長く、開業初期は案件も少ないため、基本給が低すぎると離職リスクが高まります

開業時のおすすめモデルは以下の通りです。

  1. 固定給+成果連動型:
     → 固定25万〜30万+契約1件ごとにインセンティブ支給(例:売上の5%など)
  2. 固定給のみ:
     → 月額30万円以上(業務全体を任せるケース)
  3. 歩合重視型(業務委託):
     → 完全成果報酬+宅建士手当(例:成約1件5万円など)

いずれにせよ、給与体系は事前に明文化して伝えることが重要です。「どの業務にどの手当がつくのか」を曖昧にしたまま採用すると、早期退職や信頼関係の崩壊につながる可能性があります。

荒川 竜介

不動産業界は歩合制のイメージがあると思いますが、しっかりとした経験者を採用したいのであれば固定給の提示は必須です。

雇用形態別の給与感覚(目安)

雇用形態想定月収備考
正社員(経験者)27万〜35万円宅建士手当込み、交通費別途支給など
業務委託完全歩合制売上に応じて報酬支給、社会保険なし
パートタイム時給1,300〜1,800円資格業務補助や事務処理など

採用後の定着と育成も重視しよう

せっかく経験者を採用しても、環境が整っていなかったり、期待値のずれがあればすぐに離職してしまいます。

  • 明確な役割分担と責任範囲の提示
  • 本部研修やOJTの活用によるスキルアップ支援
  • インセンティブ制度や歩合給の整備

こうした定着支援策を講じておくことで、採用後も安心して働ける環境を構築できます。特に初期フェーズでは「1人の経験者」が売上の8割を担うケースも少なくないため、定着は重要課題です。

まとめ:経験者の確保が成功のカギ

異業種から不動産フランチャイズに参入する場合、宅建士の確保と経験者の戦力化が事業成功の土台となります。自社だけで解決するのではなく、フランチャイズ本部の支援や専門メディア、人脈など複数の手段を組み合わせることがポイントです。

以下のような手順で採用活動を進めましょう。

  1. 必要なスキル・経験を明確化(宅建士の専任性も確認)
  2. 採用チャネルを選定(専門サイト・本部・紹介など)
  3. 面談時にスタンスや相性を見極める
  4. 採用後の定着支援・インセンティブ設計を準備

初めての不動産事業でも、信頼できる経験者がいれば心強いスタートが切れます。採用戦略をしっかり練って、フランチャイズ加盟の強みを最大限に活かしましょう。

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