不動産会社の開業に経理担当は必要?自分でやる場合と外注の判断基準を解説

不動産会社を開業する際、営業活動や集客と並んで欠かせないのが「経理業務」です。とはいえ、開業当初は人手も資金も限られているため、「経理担当を雇うべきか?自分でやるべきか?それとも外注か?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産開業における経理の重要性や、自社対応・外注それぞれのメリット・デメリット、判断のポイントについて詳しく解説します。
不動産業における経理業務とは?
経理業務の主な内容
不動産会社で必要となる経理業務には、以下のような作業が含まれます。
- 請求書・領収書の整理と管理
- 会計ソフトへの仕訳入力
- 月次・年次の帳簿作成
- 経費精算・支払い管理
- 消費税や所得税の申告資料作成
- 給与計算(人を雇っている場合)
- 税理士との連携・書類提出
とくに不動産業では、売上金額が大きく取引書類も多いため、日々の経理作業を後回しにすると、確定申告や決算時に大きな負担になるリスクがあります。
経理業務を軽視するとどうなる?
経理は「面倒な作業」ではなく、健全な経営に欠かせない基盤業務です。
不動産開業時に経理を自分でやるメリットと限界
メリット
- 人件費や外注費がかからない
- お金の流れを自分で把握しやすい
- 経費や節税に対する意識が高まる
開業初期は取引数が限られるため、会計ソフトを活用すればある程度の経理は自分でこなせることが多いです。freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計サービスを使えば、簿記に不慣れでも直感的に記帳できます。


限界・デメリット
- 営業や集客など、本業に使える時間が減る
- 確定申告や消費税の処理が複雑になってくると対応が困難に
- 会計ミスに気づきにくく、税務リスクが発生
特に取引件数や領収書の数が増えてくると、経理にかかる時間と手間が大きくなり、本業に支障をきたす可能性があります。
不動産開業時に経理担当を雇うケースのメリットと注意点
雇用するメリット
- 経理に専念する人材がいることで業務効率アップ
- 毎月の帳簿作成や支払い処理がスムーズに進む
- 会計処理の正確性が向上し、税務対応も安心
日々の業務が多い中で経理も並行して行うのは大きな負担となります。一定の売上や従業員数がある場合、専任の経理担当者の配置が現実的です。
注意点
- 給与・社会保険・福利厚生費などの固定費が発生
- 繁忙期・閑散期の業務量のバラつきに対応しにくい
- 採用・教育・管理に手間と時間がかかる
開業初期にいきなり経理担当を雇うのは、人件費の固定化による資金圧迫リスクを伴います。
経理を外注する(業務委託・会計事務所)のメリットとデメリット
メリット
- 必要な作業だけを依頼でき、費用対効果が高い
- 専門家による正確な処理で税務リスクが軽減
- 自分の時間を営業や経営判断に集中できる
記帳代行や申告業務を税理士事務所や外注パートナーに任せることで、月数千円〜数万円で経理業務の大半を委託することが可能です。
デメリット
- 外注先とのやり取り・資料提出に手間がかかる
- 自社のキャッシュフローを把握しづらくなることがある
- 相談内容に応じて追加費用がかかるケースもある
丸投げではなく、必要最低限の連携は自社で維持することが前提です。
自分・雇用・外注の判断基準は?
以下のような基準で、自分でやるべきか、外注または経理担当を置くべきかを判断するのが現実的です。
自分で対応できるケース
- 1人または少人数の開業で、売上や取引が少ない
- クラウド会計ソフトを活用して帳簿管理が可能
- 青色申告特別控除(65万円)を狙ってしっかり帳簿をつけたい
外注すべきケース
- 会計処理の手間が月10時間以上かかるようになってきた
- 複数のポータル・顧客・物件取引が発生している
- 確定申告や消費税処理に不安がある
経理担当を雇うべきケース
- 従業員数が5人以上になった
- 営業や管理以外のバックオフィス業務が手一杯
- 経理・労務・契約書管理など総務全般を任せたい
まとめ:開業初期は外注・ツール活用でスモールスタートが基本
不動産会社の開業時に経理担当を設けるべきかどうかは、事業規模と業務負担のバランスで判断する必要があります。
- 1人開業や小規模なら、クラウド会計ソフト+スポットの外注で十分対応可能
- 確定申告・消費税・資金管理が煩雑になったら、税理士との連携を強化
- 規模拡大に応じて、経理人材の雇用を検討
「経理は後回しにしていいもの」ではありません。むしろ、数字を管理し把握することが、営業と同じくらい経営の土台になります。外注やツールを活用しながら、自社に最適な経理体制を整えていきましょう。



