不動産会社のランニングコストと固定費を徹底解説|開業後にかかる月額費用の全体像とは?

不動産会社のランニングコストと固定費を徹底解説|開業後にかかる月額費用の全体像とは?

不動産会社を開業すると、毎月さまざまなコストが継続的に発生します。開業前は初期費用ばかりに目が向きがちですが、経営を安定させるためには「開業後にどのくらいのランニングコスト(固定費)がかかるか」を把握しておくことが極めて重要です。

この記事では、不動産会社の開業後にかかる主なランニングコストや、月額の固定費の内訳、費用を抑えるための工夫について詳しく解説します。

不動産会社におけるランニングコストとは?

ランニングコストの定義

ランニングコストとは、事業を運営し続けるために毎月・定期的に発生する費用のことを指します。固定費とも呼ばれ、売上がなくても支払い義務があるため、開業後の資金繰りに直結する非常に重要な要素です。

ランニングコストが重要な理由

  • 売上が安定しない時期でも発生する
  • 黒字倒産(利益はあるが資金が不足)のリスク要因
  • 利益を出すには「売上-ランニングコスト」が黒字でなければならない

とくに不動産業では反響の波が大きいため、固定費の抑制=経営の安定に直結します。

不動産会社の主なランニングコスト一覧

1. 事務所の家賃

  • 賃貸事務所の家賃(月5〜20万円程度が相場)
  • 管理費・共益費も別途発生するケースあり

自宅開業やバーチャルオフィスでは大幅に抑えられる反面、宅建業免許の取得要件に注意が必要です。

2. 通信費・電話代

  • 固定電話(月1,000〜3,000円)
  • 法人携帯(月3,000〜6,000円/1台)
  • インターネット回線(月4,000〜6,000円)

見込み顧客との連絡やポータル対応には安定した通信環境が必須です。

3. ポータルサイト掲載費

  • SUUMO・アットホーム・ホームズなど
  • 月額3万円〜20万円以上(掲載枠数やプランによる)

最も高額なランニングコストのひとつであり、継続的な費用対効果の見直しが求められます。

4. ソフトウェア・ツール利用料

  • 顧客管理システム(CRM):月3,000〜15,000円
  • 会計ソフト:月1,000〜5,000円
  • チャットやスケジュール管理ツール:無料〜月1,000円程度

クラウド型ツールを活用すれば、人件費をかけずに業務効率化が可能です。

5. 水道光熱費

  • 電気・水道・ガス代で月5,000〜15,000円程度
  • 空調や照明を長時間使用する場合は高くなる傾向

6. 消耗品費・備品費

  • コピー用紙、インク、文具など
  • 月3,000〜1万円程度(来客対応が多いと高くなる)

まとめ買いやネット注文を活用することでコスト削減が可能です。

7. 保険料・会費

  • 損害保険・業務保険(月額ベースで1,000〜3,000円程度)
  • 宅建協会や商工会議所への年会費(月換算で1,000〜3,000円)

不動産開業初期から従業員がいる場合の追加費用

1. 人件費(給与・社会保険)

  • 正社員1人あたりの給与:月20〜30万円+社会保険料
  • アルバイト・パート:時給1,100〜1,500円×稼働時間

人を雇うと、固定費が一気に上がる最大要因となるため、採用のタイミングは慎重に見極める必要があります。

2. 交通費・福利厚生費

  • 交通費支給(月5,000〜15,000円/人)
  • 飲食・慶弔関連・福利厚生費なども発生

不動産会社の月額固定費の目安(モデルケース)

費目月額目安(1人開業)
事務所賃料80,000円
通信費(電話・ネット)10,000円
ポータル掲載料50,000円
ソフト利用料10,000円
水道光熱費8,000円
備品・消耗品5,000円
保険・会費3,000円
合計(目安)約166,000円

※人件費・広告費を除いたランニングコストの一例です。

不動産開業時のコストを抑えるための工夫とポイント

無理に広い事務所を借りない

宅建業免許の要件を満たす最小限の広さ・仕様にとどめ、立地より固定費重視で選ぶのがポイントです。

業務をデジタル化して人件費を抑える

事務作業の多くはクラウドツールで効率化できます。営業1人+外注やツール活用で、固定費を抑えながら売上を上げる仕組みを構築しましょう。

ポータルサイト費用の見直し

  • 実反響の分析と費用対効果の把握
  • ポータル掲載枠を絞り、ホームページ集客との併用へ移行

継続的な掲載が収益に直結しているかを定期的に検証することが重要です。

まとめ:固定費の把握が経営安定の第一歩

不動産会社を開業した後は、売上以上に「固定費に耐えられる体力があるか」が問われます。毎月のランニングコストを事前に把握し、無駄を省きながら必要な支出には惜しまず投資する。このバランス感覚が、短期的な黒字と長期的な事業継続の両方に欠かせません

まずは必要最低限のコストでスモールスタートし、徐々に利益が出てきたタイミングで拡張・採用・広告投資などにステップアップしていきましょう。

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