【不動産開業】営業同期と2人で会社を立ち上げるのはアリ・ナシ?注意点は?

【不動産開業】営業同期と2人で会社を立ち上げるのはアリ・ナシ?注意点は?

同じ会社で切磋琢磨してきた営業同期。気心が知れ、実力も互いに認め合っている――そんな相手と「2人で独立して不動産会社を開業しよう」と考えるのは自然な流れかもしれません。

しかし、共同経営にはメリットもあればトラブルの火種も潜んでいます。
この記事では、不動産会社を同期と立ち上げるのが「アリ」か「ナシ」かを、経営面・実務面・人間関係の観点から整理し、成功させるための注意点を詳しく解説します。

【不動産開業】営業同期と2人共同で開業することのメリット

1. スタート時の心理的・実務的な負担が分散される

開業は想像以上にやることが多く、孤独になりがちです。

しかし同期と一緒であれば、

  • 事務作業や営業活動の分担ができる
  • 精神的に励まし合える
  • 意思決定の相談ができる

といったスタートダッシュの不安を大きく減らす効果があります。

2. 2人の人脈やノウハウを合算できる

片方が賃貸に強く、もう一人が売買に強いなど、得意分野を補完し合える関係性であれば非常に強力な布陣となります。

また、独立当初は人脈が重要になるため、それぞれが持つ元顧客や取引先とのコネクションも活用しやすくなります。

3. 融資や信用面でプラスになることも

創業融資では代表者の経歴や事業計画が評価されますが、共同代表であってもそれぞれの職歴や実績が補完材料になる場合もあります。

また、法人設立時の資本金を2人で用意することで、資金面の負担も軽減できます。

【不動産開業】営業同期と共同経営に潜むデメリット・リスク

1. 方向性の違いによる衝突

最も多いトラブルが、経営方針の違いから生じる亀裂です。

  • 拡大志向 vs 安定志向
  • 売上重視 vs 顧客満足重視
  • 戦略的投資 vs 堅実な経費管理

起業前は「価値観が似ている」と思っていても、お金と責任が絡むと本性や温度差が表面化しやすくなります。

2. 役割分担の不均衡

「どちらが社長か」「責任や報酬はどう分けるか」が曖昧なままだと、どちらかに負担や不満が蓄積する原因になります。

また、事務作業や顧客対応など、見えづらい業務の差がトラブルになることもあります。

3. 片方が辞めたくなったときの処理が難しい

途中で片方が離脱したくなった場合、

  • 株式・持分の処理
  • 名義の問題(宅建士や代表取締役)
  • 残された側の運営継続の可否

といった複雑な課題が一気にのしかかります。

「友情が壊れただけでなく、事業も止まった」などの最悪パターンも珍しくありません。

実際によくある不動産共同経営の失敗例

  • 開業後に片方が「思ったよりハードだった」と脱落
  • 営業成績に差が出て報酬分配で揉める
  • プライベートの価値観(結婚・家庭)がズレて時間の使い方が合わなくなる
  • 仲が良すぎて甘くなり、決断が遅れる・責任の所在が不明確になる

→ 多くの場合、「感情と経営を分けて考えられなかったこと」が根本原因です。

【不動産開業】営業同期と2人で独立して成功させるための5つの注意点

  1. 必ず「出資比率」「報酬」「役割分担」を文書で明確化
  2. 「同じ宅建士を共同代表にする」は慎重に検討
  3. 「解散時のルール」を先に決めておく
  4. 「相性の良さ」より「経営観の近さ」で判断
  5. 最悪の事態を想定しておく

1. 必ず「出資比率」「報酬」「役割分担」を文書で明確化

共同経営で最も重要なのが、「取り決めの明文化」です。

以下の内容は最低限、合意書・株主間契約書などに落とし込んでおくべきです。

  • 出資比率と株式の持分
  • 代表者の選定
  • 役割と業務範囲の明確化
  • 報酬や利益分配のルール
  • 退任時の株式譲渡・評価方法

※口頭の約束はトラブルのもとになります。

2. 「同じ宅建士を共同代表にする」は慎重に検討

宅建業では専任の宅建士が1人は必要です。

開業時はどちらか1人が「代表兼専任宅建士」になることが多いですが、どちらが欠けても免許が維持できない状態になるのはリスクです。

→ できれば、2人とも宅建士資格を持っている状態で開業するのが理想です。

3. 「解散時のルール」を先に決めておく

  • 持分の買い取り条件
  • 名義変更や営業権の処理
  • 顧客リストや契約データの帰属先

→ 解散・離脱を前提とした取り決めは、友情ではなく事業としての健全性を保つために必要不可欠です。

4. 「相性の良さ」より「経営観の近さ」で判断

仲がいい・気が合うだけでは共同経営は続きません。

むしろ、「考え方が論理的でぶつかっても冷静に話せるか」「ビジョンが一致しているか」が重要です。

→ 友人ではなく、ビジネスパートナーとして見られるかどうかが分かれ目です。

5. 最悪の事態を想定しておく

  • どちらかが病気・離婚・転居などで抜ける可能性
  • 家族や配偶者からの介入
  • 収益が伸びず責任の押し付け合いに発展

→ これらを想定した「共同経営プランB」も考えておくことが重要です。

まとめ|共同経営は「覚悟と準備」があればアリ

営業同期と2人で不動産会社を立ち上げるのは、ビジョンが合い、信頼関係が構築されていれば非常に有力な選択肢です。

しかしその反面、「なんとなく気が合うから」「一緒にやれば楽そうだから」といった軽い理由では破綻するリスクも高くなります。

開業はスタートに過ぎません。

長く経営を続けていくためには、感情に流されず、契約とルールに基づいた体制づくりが必須です。

「2人でやる」ことの良さと難しさを理解した上で、経営パートナーとして向き合えるかどうかをじっくり見極めてください。

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